幻想交響曲 岩田玄齋作品集について

 

 

絵画油彩編

 

夢見る少女ならロマンがあるが、夢見る老人では話にならない。しかし年寄りとて若い時はあった。

人生の中で、人は様々なものに接し様々に感じ、様々に思いを馳せる。様々に空想するのは人間の特権である。

折々の思いを綴ったのが、ここにある作品群である。一人の日曜画家が描き続けた、いわば折々の思いを綴った

絵日記である。並べて見ると、一人の人間の生き様、思いが伝わって来るようにも思える。

独特の感性や視点というものは無いし、技術のないまま今日に至ってしまった。当たり前の人の、

当たり前の感情で描いている。変わったものも無ければ、ユニークな個性も無いかもしれない。

しかし、私としては折々の思いで描き続けて来た。小学生、中学生の時のものもあり、

私にとっては一つ一つに憶い出があり、愛着があるが、客観的には拙劣なものが多い。

もっと色々な試みがあっても良かったのではとも思うが、果たしてどうか。表面的目くらましは意味が無い。

作品は照明が充分でない上に、油彩は光るので撮影が上手く撮れず、色は良くない。実物の方が遙かに色は良い。

しかし一方、実物の方は時間と共に剥落し、修復の必要なものも少なくない。

素人は保存環境がひどいので仕方のないことではある。

下手うまなら、まだ味があるが、凡庸人の、常識的思考の枠を出ないので、何処かで見たような感じがするとも

思われる。物真似も多い。色々な物を描いて来たと我ながら思うが、芸術的価値の有る物は一つも無い。

作者が俗物なのでこれも致し方がない。

様々な思いを抱き、こんな人も居たということは分かるように思う。

 

工芸(陶芸)編

 

絵ばかり描いていると、立体物を作ってみたくなる。自在に形作るのは面白い。

形を考え、色を考え、こんなのはどうだと思索するのは楽しい。実際に作成すると、そう上手くはいかず、

不様な結果となる。色も窯次第。釉薬の厚さ、土の色はまだしも、窯入れの位置で変わってしまう。

従ってここにあるのは試作品の山である。後から色付けしたものもある。陶芸でなく、工芸であるものも。

色々考えるのが楽しいので、作りは丁寧ではなく、写真の方が立派に見える。実物は歪んでひどいものである。

あくまでも試作品なので、アイデァを専門家が完成させ、人に愛用されればとも思う。

自在な発想で作りたいので、ほとんどが手びねりで、実用的なものは少ない。きちっと重ねて格納できたり、

滑らかで洗い易いといった制限に縛られたくないこともあるが、ひずんだり、ゆがんだりしているものの方が

面白い。これは西洋的なものと異なる感性だろうと思う。                               2018.1.1

 

追記

いつか生前葬展示会をしたいと思う。倉庫を借り、木材とベニヤを持ち込んで組立て、

ベニヤ一面に絵を貼り付け、前のテーブルに陶器を置く。展覧会の様な洒落たものでなく、

額も無く所狭しと貼り付ける。観覧自由で、話し合いも自由。

生前を偲び本人が受け答えをする。一週間程開き、手空の時に来てもらう。

気に入ったものが有れば、投票箱に作品名を入れてもらい、後日寄贈する。

左程希望は無いだろうから手間もたいしてかかるとは思えない。・・・という夢。      2022・4.1

 

(追)ホームページを作成したので、夢の半分はかなえられたのかも知れません。

 

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